鳥山石燕『画図百鬼夜行』

潤子さん
谷崎です。
一時期の妖怪ブームは、最近、ちょっと沈静化してきた感ありますね。


京極夏彦京極堂シリーズが火付け役となり、水木しげる御大の書物がリバイバルされたり、カルト的人気を誇っていた荒俣宏が光の当たる場所に出てきたりと、……映画に漫画にアニメ。
まさに、妖怪メディアミックス状態でしたね。


ちなみに、私の周りにも妖怪好きが多くて、

「ね、最近のオススメ妖怪は何?」
「最近は、天井嘗! もーヤバイって!」
「アタシは琵琶牧々。あれって、今流行のゆるキャラよねー」

などという会話が飛び交っています。
……嘘です。


さてまあ、そんなブームも、少し鎮まってきたわけで。ここら辺で、一度、原点に戻ってみるのは如何でしょうか?

鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集 (角川文庫ソフィア)

鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集 (角川文庫ソフィア)

江戸時代の妖怪画家、鳥山石燕(1712〜1788)の著した『画図百鬼夜行』。
微妙ーに、偏った書籍を発刊し続けている、角川ソフィア文庫版です。
文庫なので、お値段もお手頃。
文庫の帯には、
火車、姑獲鳥、狂骨もいるぞ。水木しげる京極夏彦を語る上で欠かせない伝説の妖怪絵師の名作すべてを一冊に!」
と、あるように、水木しげる京極夏彦の作品の元ネタとなった妖怪の原型が、ごっそり詰め込まれています。
(まあ、「伝説の妖怪絵師」という部分には、かなり誇張を感じなくもないですが)
しかも、嬉しいことに、影印*1翻刻*2+妖怪別索引付き!
現代語訳はついてませんが、江戸時代の妖怪絵を眺めているだけでも、充分楽しめます。


また、影印の下に翻刻がついてるので、変体仮名を勉強したい人にも持ってこい!
ハリー・ポッターで英語の勉強をするように、『画図百鬼夜行』で変体仮名*3を覚えられますよー。
(たぶん)

*1:底本を写真撮影したもの

*2:変体仮名を今の私達に読めるようにしたもの

*3:いわゆる、古い時代のグニャグニャした文字