日本探偵小説三大奇書+『家畜人ヤプー』


好きな本のためなら、嘘も捏造も厭わない、バーチャルネット司書・谷崎です。


潤子さん
誰が決めたのかは知りませんが、
「日本探偵小説三大奇書と呼ばれる作品があります。

知名度では、『ドグラ・マグラ』>>>『黒死館殺人事件』>『虚無への供物』という感じでしょうか。
私は、中学生の時に読んだのですが、内容の奇抜さも、この順番だったと感じています。
読み辛さ度でいくなら、難解な方から、
黒死館殺人事件』>『ドグラ・マグラ』>>『虚無への供物』でした。
(あくまでも、私個人の感覚ですけども)

夢野久作ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ』が有名なのは、何と言っても、裏表紙に書かれた、
「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」
という謳い文句でしょう。
(まあ、『ドグラ・マグラ』を読んで、神経がおかしくなった人など聞いたことありませんが)
ただ、主題が「自分の脳を疑う」ということなので、長い長い出口のない迷路に迷いこんだような、クラクラした酩酊感を味わうことができる本です。
角川文庫版の表紙、米倉斉加年さんのイラストが……
コレ↓で、

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

ちょっと図書館のカウンターに持って行きづらい方や、上下巻を読んでる暇が無いという方は、
DVDもあるので、そちらをご覧になっても良いと思います。

ドグラ・マグラ [DVD]

ドグラ・マグラ [DVD]

……まあ、装丁の恥ずかしさでは、トントンというところでしょうか……
なかなか出来の良い映画で、結構、小説の雰囲気が忠実に再現されていると思います。
見所は、なんと言っても、今は亡き桂枝雀師匠の怪演! これにつきますね。

沼正三家畜人ヤプー

この手の奇書、というと、残り2つよりも、
私は、沼正三家畜人ヤプーを挙げたいですね。(推理じゃなく、SFなんですが)

家畜人ヤプー〈第3巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第3巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

最近、江川達也が漫画化したので、ご存じの方も多いでしょう。

家畜人ヤプー 7 (バーズコミックス)

家畜人ヤプー 7 (バーズコミックス)

今でこそ有名ですが、幻冬社アウトロー文庫から文庫版として出版するまでは、結構、手にすることが難しい(?)奇書でした。
執筆当時(1956〜)から、あまりに過激な内容であったため、右翼左翼両方から抗議があり、出版も難航したと言われています。
また、作者「沼正三」の正体が、未だに不明*1であるため、カルト的な人気は非常に高いです。
結構、グロテスクというか……、そういう描写もあるので、苦手な方はやめておいた方が良いかもしれませんね。

小栗虫太郎黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』

残り2つの「日本探偵小説三大奇書
実は、ほとんど印象が残っていないんです……スイマセン。

黒死館殺人事件 (小栗虫太郎 全作品)

黒死館殺人事件 (小栗虫太郎 全作品)

新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)

新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)

ちなみに、小栗虫太郎黒死館殺人事件』は、青空文庫でも読むことができます。

青空文庫には、夢野久作の作品もたくさん収録されています。
(『ドグラ・マグラ』は打ち込み中みたいですが)

中井英夫に関して言えば、『虚無への供物』よりも、短編集『薔薇への供物』の方が、面白く感じた覚えがあります。
ええと、あらすじはサッパリ忘れちゃったんですが。。。
(なんと言っても、中学生の頃の話なので……)

薔薇への供物 (河出文庫)

薔薇への供物 (河出文庫)

*1:一応、沼正三代理人天野哲夫が正体ではないかと言われている